2015年04月21日
靴の価値
タイトルからのこちらの画像の靴、長年履きこんだ経年変化でしか出せない味、
甲部分には大きなシミもついており、サイドから見ると、
なかなか大きな革パッチが・・・・・・
あちこち痛みが出ており、ボール部両サイドには深いクラック(革が裂けた状態)が複数、
しっかり手入れされており、いいツヤ感ですが、見る人によっては否定的な意見の方も
いるかもしれませんよね。
実はこちらの靴は、弊社スタッフの中でも一番の古株で、職人としての技術もずば抜けた
大先輩の私物でして、トリッカーズのカントリー、初めての足入れから10数年、見習いから
始めてゆるぎない技術を身に付けた今日まで、慣れない手元でボンドやコバ用インクなどを
何度も吸い込み、忙しい作業場で機械にぶつけ、粉じんをかぶり、ハードな環境の中、
ともに歩み続けてきた靴なんだそうです。
新品買えばいいじゃないですか?という意見もあるかとは思いますが、靴に刻まれた
深いクラックやシミの数だけ思い出がぎっしり詰まっており、
「履き続けることで心身共に引き締まり、驕らず、精進して誰にもまねのできない技術を身に付けよう」
と、初心に帰れる靴だからパッチだらけになっても履き続けるとおっしゃってました。
チャールズ皇太子は同じ靴を3足ずつ、4種類の、計12足を若いころから現在までずっと
履きつつづけ、いたるところにレザーパッチだらけになっており、側近の方々からは、
お願いですから靴を新品に買い替えてくださいと懇願されているというのは有名なお話ですが、
修理して履き続ける!と、自身の信念を貫き通されてるんだそうです。
物の価値というのは人によって様々ですので一概には語れませんが、
自身の持ち物を語るとき、このような背景を持ち、感慨深げに人に語れるというのは
素晴らしいことだと、個人的には思っております。
お修理ももちろんですが、その後の皆様のお履きになられるシーンが主役の靴ですので、
新品の靴はもちろん、長くご愛用の靴も是非我々スタッフにご相談くださいませ。
レザーパッチ(ミシン縫い) 1か所 1600+TAX~
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